音響設備を導入する際の検討ポイント
音響設備の基礎知識
音響設備の導入を検討する際に参考になる基礎知識について、まとめています。
音響設備とは、業務用の音響機器を組み合わせ、ひとつの音響システムとして完成させて、音声を拡声する設備のことです。
音響設備を検討する際の大切なポイントは、その導入目的(用途)を明確にすることです。
導入目的(用途)を詳細部分まで明確にすることで、音響設備導入後のトラブルを防ぐことにつながります。
こちらのページでは、音響設備の基礎知識や導入手順など、音響設備を導入する際の検討ポイントについて、ご説明致します。
音響設備の基本構成
音響設備はシステムの規模や用途でことなりますが、基本システムの機器構成は次の通りです。
各機器の機能と役割を知ることで、音響設備のスムーズな運用につながります。
オーディオミキサー
オーディオミキサーの役割は、マイクや送出機器からの信号を入力し、音量や定位などを調整して、パワーアンプに出力します。
オーディオミキサーの種類は、主に下記の通りです。
- アナログミキサー
- デジタルミキサー
- パワードミキサー
一般的に普及している種類で、入力信号をアナログのまま、音量や音色を調整し出力します。
入力信号をデジタル変換し、デジタルデータとして処理を行い出力します。
音質が劣化しない等の特徴があります。
パワーアンプを内蔵しているミキサーです。
中小規模の音響システムで主に導入されています。
パワーアンプ
パワーアンプとは、オーディオミキサーで、調整された信号をスピーカーが駆動できるレベルまで増幅する機器です。
- 単体タイプのパワーアンプ
- パワードミキサータイプ
- パワードスピーカータイプ
パワーアンプのタイプは、主に下記の通りです。
一般的なパワーアンプで、音響ラック等に組み込んで使用します。
ミキサーにパワーアンプを内蔵しているタイプです。
中小規模の音響施設で主に導入されています。
スピーカーにパワーアンプを内蔵しているタイプです。
小規模の音響施設で主に導入されています。
オーディオイコライザー
イコライザーとは、音声信号の周波数特性を調整する音響機器です。
主に録音特性やスピーカーの特性の補正などに利用します。
マイク類
マイクは、大きく分類すると、有線マイクとワイヤレスマイクに分けられます。
また、用途に応じて、スピーチ用やボーカル用等の種類がありますので、利用シーンを想定して、お選びください。
ワイヤレスマイクについては、受信側の機器として、ワイヤレスチューナー及びワイヤレスアンテナが必要です。
ワイヤレスマイクの主な種類
- スピーチ用ハンドマイク
- ボーカル用ハンドマイク
- タイピン型マイク
- ペンダント型マイク
- ヘッドセット型マイク
- プレストーク型マイク
スピーカー類
スピーカーは設置方法により、天井埋込型・天吊り型・壁掛け型に分類されます。
スピーカーの配置・数量・出力・インピーダンス(注1)については、室面積や形状を確認しながら、機器選定します。
- 注1:インピーダンスとは?
スピーカーの持つ電気抵抗のことで、単位はΩ(オーム)です。アンプとの組み合わせで、決定します。
音響ラック
音響機器を収納するラックで、通常はEIA規格に適合する音響ラックを使用します。
*EIA規格の音響ラックとは、音響機器の取付ピッチが、44.45mmの倍数になる規格です。
以上が、音響設備の基本構成についてのご説明です。
次に、音響設備を導入する際の主な検討ポイントについて、ご説明致します。
音響設備を導入する際の検討ポイント
音響設備を導入する際にあらかじめ決めておきたいポイントについて、ご説明致します。
音響設備は、お客様のニーズに合わせて、提案を行いますので、下記の項目については、可能な限り、事前に決めて音響設備業者へ、要望を伝えましょう。
音響設備の用途
例えば、「学校の体育館用」「企業の会議室用」「ホテルの宴会場用」などの音響設備の用途を決めておきましょう。
音響設備の設置場所
音響設備は、一般的に、アンプやミキサー等は、スピーカーと設置個所が分離されています。
配線ルートの問題もありますので、アンプ類の設置箇所を決めておきましょう。
音響設備の拡声範囲
音を到達させたいおおよその範囲を決めておきましょう。
アンプやスピーカーを提案する際の参考になります。
音響設備の使用目的
音響設備の使用目的、例えば、「アナウンス(声)中心に使用する」「音楽中心に使用する」等のメインの使い方を決めておきましょう。
導入場所のおおよその収容人数
音響設備を使用して、おおよそ何名の聴衆に音声を聴かせたいかを決めておきましょう。
収用人数は、音響調整をするうえで、参考になります。
送出機器の選定
CDやDVDなどの送出機器の種類と台数を決めておきましょう。
ミキサー等の入力数を決めるうえで、参考になります。
マイクの種類と必要数量
マイクは、大きく分類すると、有線マイクとワイヤレスマイクに分けられます。
また、用途に応じて、スピーチ用やボーカル用等の種類がありますので、利用シーンを想定して、種類と必要数量を決めておきましょう。
以上が、音響設備を導入する際の主な検討ポイントについてのご説明です。
次に、音響設備を導入するまでの大まかな流れを参考にご紹介致します。
音響設備導入までの流れ
*音響システムの規模や発注形態により、その内容はことなります。
お客様
上記の「音響設備を導入する際の検討ポイント」の項目を参考に要望をまとめ、音響設備業者などへ、お伝えください。
図面等があれば、ご準備ください。精度の高い提案が可能になります。
音響設備業者
お客様のご要望をもとに、提案書と見積書を作成して、お客様へ提出致します。
*提案書の内容:系統図・平面プロット図・機器仕様書などをまとめた資料です。
お客様
音響設備業者より、提出された提案書及び見積書の内容をご確認ください。
計画しているご予算を超えている場合は、その旨、音響設備業者へ、連絡します。
音響設備業者
お客様のご予算に応じて、システム全体を再検討します。
この時に大切なポイントは、必要な基本システムの機能は変えずに、コストダウンを検討することです。
お客様
音響設備業者より、再提出された提案書及び見積書の内容をご確認ください。
提案内容や予算に納得頂きましたら、発注・施工依頼を行います。
音響設備業者
お客様より、ご依頼いただいた内容に基づき、納入仕様書を作成・提出して、打ち合わせを行います。
お客様及び音響設備業者
納入仕様書(機器仕様書・系統図・構成図など)を基に、双方で内容を最終確認致します。
見積金額・仕様内容に、ご納得頂きましたら、契約を行います。
音響設備業者
ご契約内容に基づき、音響設備の施工を行います。
音響設備業者
施工完了後に音響調整と自主検査を行います。
人の聴覚は、音量と音の高さ(周波数)にも感覚を持っていますので、現場の環境に合わせた音響調整を行います。
お客様及び音響設備業者
完了検査をお客様立会いのもと行います。
ご指摘事項がなければ、施工完了・引き渡しとなります。
*施工完了時に完成図書(機器仕様書・取扱説明書等)をお客様へ、お渡し致します。
以上が、音響設備を導入するまでの大まかな流れになります。
音響設備は、単品の機器ではなく、システム機器ですので、設置して接続すれば完了するものではありません。
現場の設置環境に合わせて、ケーブルの種類やルート、機器の配置や音響調整等、現場で適切な判断が必要になります。
音響設備を検討する際は、電器店や電気工事会社ではなく、建築音響・電気音響の知識や技術のある音響設備工事会社へ、ご相談することをお勧め致します。
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