建築音響設計の役割とは?
建築音響設計の検討ポイント
建築音響設計の役割と建築音響の検討ポイントについて、まとめています。
建築音響設計の主な役割は、音楽ホール・コンサートホール・多目的ホール等で、演奏者が快適に演奏でき、客席で良好な音質で聴けるような音響空間の設計を行うことです。
その目的を達成する為の具体的な検討ポイントとして、「音響」・「防音」・「防振」の各項目があります。
こちらのページでは、上記の検討ポイントの中で「建築音響」について、ご説明致します。
建築音響設計の検討ポイント
建築音響設計で、検討が必要なポイントについて、各項目ごとにご説明致します。
音響障害の防止について
高音質で快適なホール空間を実現する為には、響きの長さ(残響時間)を調整するだけではなく、音質や音色を調整すること、すなわち響きの質を設計することが必要となります。
特に、平行に対向する反射性の大きな面がある場合は、エコー(注1)やカラーレーション(注2)といった音響障害となりますので、対策が必要となります。
具体的には、ステージから出た直接音に対して、時間遅れの少ない初期反射音のレベルが、後部座席まで均一になるように有効な反射面の設計・対策を行います。
その他の音響障害に対する対策項目
- エコー障害(ロングパスエコー)に対する対策
- 側方からの反射音に対する対策
ステージから遠い反射面からの遅れた反射音によるロングパスエコー(注3)に対する対策を行います。
音に包まれた感じを増す効果がある側方からの反射音についての対策も行います。
*注1・2・3のご説明
- 注1:エコーとは?
- 注2:カラーレーションとは?
- 注3:ロングパスエコーとは?
エコーとは、直接音から遅れて聞こえてくる反射音の内、直接音と分離してずれて聞こえるもので、音が聞き取れなくなる音響障害です。
カラーレーションとは、反射音が干渉して音色が変わる音響障害です。
ロングパスエコーとは、発生した音が反射によって、遅れて聞こえてくる音響障害で、明瞭度が低下する現象です。
最適残響時間について
ほどよい響きは、音に豊かさや暖かみを与えますが、響きすぎると演奏の妨げになったり、本来の演奏の意図も損なってしまいます。
また、極端に響きの少ない環境では、演奏に違和感を感じたり(音同士が馴染まないなど)つまらない音になってしまい最適な建築音響空間とは言えません。
ホールの最適な残響時間は演奏される音楽のジャンルや室容積によってことなります。
クラッシクやアコースティクな音楽ではやや長め(ライブ)、歌の入るロックやポップスなどでは短めに(デッド)設定します。
上記のように、ホールの最適残響時間は、その使用用途によって変化するということです。
用途が多目的の場合は、可変残響装置・吸音パネル・反射板を設置することで、使用用途に合わせて響きの量を調節することが可能です。
<可変残響装置の設置例>
<参考図面>
以上が、建築音響設計で、検討が必要なポイントについてのご説明です。
建築音響設計を担当するには、建築音響・電気音響はもちろんのこと、音響機器仕様・音響測定等の知識や技術が必要です。
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建築音響設計・電気音響設備設計の主な実績
- 東京学芸大付属高校講堂音響設備設計
- 大阪芸術大学8号館アフレコスタジオ設計
- 角川映画試写室 音響設計
- 広島大学芸術学部アートシアター音響設計
- セントメリーズインターナショナルスクールホール音響・映像設計
- 埼玉成恵会病院音楽ホール音響設計
- ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社試写室音響設計・監理
- Arquebuse Studio フォーリースタジオ音響設計
- 広島シネマコンプレックス八丁座音響コンサルタント
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